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日本人だな。と思う瞬間。






塗り絵をしていると「日本人だな」と感じます。
黒のはっきりした線描の中を好きなように塗っていると
北斎にでもなったような気分になります。

日本は「平面の文化」です。
着物も平面。一反の布で、どの人のサイズにも合わせて縫うため
切り捨てる無駄がありません。

演劇の舞台も平面。
能楽の舞台は松が描かれたひのきの鏡板一枚で、場面が変わりません。

歌舞伎はどうでしょう。
書割りという板に描かれた背景が変化したり、
その前に何枚かの幕が下ろされたりするだけ。
舞台が平面だからといって不都合はありません。
むしろ平面を補うイマジネーションが、見る側にも豊かに養われるからです。

日本のアニメや漫画が世界で人気なのも
日本人が平面の達人だからです。
遊び心と線描の「画法」がアニメや漫画の原点になっているのでしょうね。

デッサンを勉強していたとき
「日本人は物を平面にとらえる」
という事を教えられました。
欧米人とは全く違う物の見え方が、何だか誇らしく思えたのです。

「和」の美が平面の世界で普遍であること。
大事な大事な文化です。
by kai-takasaki | 2009-10-08 09:35 | エッセイ