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フリーペーパーからみえたもの





フリーペーパー「cocode」にコラムの連載をさせていただいてから
一年半の月日が流れました。
冊子自体に対価を払わないメディアで、
読者と情報の送り手の目線が同じというところが魅力的です。
私は結婚して名字が変わった上、名前も本名ではありません。
小学校から大学生、そして今でもニックネームである
「かいちゃん」を書くときの名前として使っています。
檜と書いて「かい」は
「自分の力を発揮出来る舞台=檜舞台」
という意味を込めてつけたものです。
しかし、地元の人はコラムを読んで
「・・・この人、誰・・・?!」
と思っている人が多いらしく、母は何度もそんな場面に出くわしたそうです。
「このコラム、岩出山出身ってなってっけど、誰だべ?」
母は嬉しそうにこう言うそうです。
「あらぁ~、うぢの二番目ぇ~、結婚して名字は変わったべし、名前もかっこいぐしてっから。
・・・わがんねっちゃね?」
などと、さりげなく教えているらしい。

私はこのフリーペーパーで書いている内容は、地元の人が読んで
「んだ、んだぁ!」とくすくす笑ってもらえる内容です。
私は18から仙台で暮らしていて、今では故郷で暮らした年月を超してしまいました。
離れてみて、別の場所から大崎を眺めたとき
そこにいたときには気づかなかったことがたくさんあります。
私はそれを「cocode」で書きたいのです。

最近読んでいる本。
写真家藤原新也さんの「コスモスの影にはいつも誰かが隠れている」
これは東京メトロの駅で配布されている月刊フリーペーパー
「メトロミニッツ」で連載されていたものから十数編選ばれて刊行した物です。
藤原氏は新聞のインタビューにこう答えています。
「今という時代は喜怒哀楽の『喜』と『楽』はあふれているが、『怒』と『哀』には蓋がふさがれ
 無意識下に抑え込まれている。この哀しみの物語は現代に生きる人々の乾きや飢餓感
 に感応し、カタルシスを起こしたのだと思う」
十万人が読んで、一人も救われなかった、という物語はかきたくない。とも。

私の小さな小さな物語は、何人の人が読んでどんなことを感じてくれているのだろうか。
「んだ、んだぁ~」とくすくす笑う心の中で、なにか暖かい物が残ってくれればと切に願う。
実際、ド田舎が抱えている問題は山ほどある。小さな事から気の遠くなることまで様々です。
しかしその中で「ここで暮らす」と決めて、日々を極上の物にしたいと発信しているスタッフの皆さんは
本当に頑張っている。救われるような気持ちになります。
そんな紙面に参加出来ること、本当に本当に嬉しいのです。

「次もお願いします」

その言葉が私の次の原動力になります。
ありがとうございます。
次も頑張ります。
by kai-takasaki | 2009-12-18 09:40 | cocode