リセット

被災地、石巻から自宅に1本の電話がありました。

「石けんを広げたい。学習会をして頂けませんか?」

石巻のある避難所で、その方はボランティアをしていると言います。
多くの方が仮設住宅に住む一方、ここではまだ120名程の方が避難所生活を強いられているそうです。

今までの生活の全てを、津波によって乱暴に奪われてしまい
家や仕事、財産、そして愛する家族までも無くしてしまった人達。
仮設に入っても、収入が無く
自分の足で立つことができないそう。

料理すらできない。

そんな避難所の人達に
自立支援が始まっているそうです。

まずは生きる基本である「食べる」ということ。
そこで、調味料セットを奥様達にプレゼントするという粋な企画を考えている人達がいて
その中に「石けん」を入れたいというのです。

「・・・じつは、被災地は昔ながらの風習で、『家』を守るのは長男、長女と決まっています。
それを若い人達は『しがらみ』と言っていやがる人がたくさんいました。・・・でも、今回の津波で
そんなしがらみから解放され、ここをはなれる人が多くいることも事実です。
だって、実際そうです。漁業、農業はできない。原発で子供の体も蝕まれるでは、暮らしてはいけません。
・・・でも・・・。いつかこの街が復興して、一度離れた人がここに戻ってきたときに、
あぁ・・・いい街になったなぁって、もう一度ここで頑張ろうって思う場所にしたいんです。
そのためには、今までと同じではだめな事も出てきます。
・・・化学物質です。これはいらない・・・。
そのために、タカサキさん。石けんを広げたいんです。お願いしてもいいですか」

勿論、私は二つ返事で了解しました。

震災後、現地でボランティア活動を続け、テント生活をしながら
地域の復興のために働いている方がたくさんいるといいます。
その中の一人に、会いにいくことにしました。
その方と話をして、どんなことができるか
計画を立てるためです。
被災地の人は今、仕事はないけど
自分のスキルアップのための勉強をしたい。という方が多いそうです。
そのための「石けん学習会」です。
現地でのコーディネートは、土地勘のある現地の人にお願いして
私は企画を考えることに。

ただ・・・。

温度差がつきまとうのです。
都会の人達が歌を唱ったり、署名したり、自分たちのできることを、というような行動は
現地の人達から観ると・・・ズレがあるときがあるのです。
自分の気持ちだけが空回りしないように
まず、現地に行って、話をして、私を知ってもらって
どんな街にしたいか、どんな夢があるのか・・・
そこが少しでも見えるまで、乱暴に企画だけを持って行くようなことはしたくないと、伝えました。

電話を下さった女性の方は
「私もそう思います」
そう、言って下さいました。

長期的に、何年も続けられるような活動をしたい。
何年かかるかわからないけど
私は、多くの人達に「石けん」の良さが伝わるように
何度でも、何度でも
石巻に通いたいと思っています。

そして、彼女が言うように
帰ってきた人達が、「あぁ、ここに生まれて良かった」と
そう感じてもらえるような街に

しようではありませんか!

そんな復興でなければ「意味がない」と彼女は言います。
そんな美しい、新しく生まれ変わった石巻をイメージしながら
市民とともに、新しい街作りをしていきたいと思っています。
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