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カロリーメイト





土曜日、カーテンを開けるとまさかの「大雪」だった。
目を疑う銀世界に「マジかよ」と隣で長女ががっかりする。
その日は娘の公式試合。先週全敗してしまったから
今日はリベンジする。と気合いは十分だったからだった。
それでもサッカーという競技は、どんな悪天候でも実施すると聞いていたから
とりあえずおにぎりやスポーツドリンクの用意をし始めた。
次女も連れて行くからオールインワンのスキーウェアを出す。スノーブーツも。
私は主人のサッカー用のピステを借りることに。

長女も持ち物を確認し始めた。
すね当て、ソックスの替え、トレーニングシューズの替えも追加。
そして「カロリーメイト」を入れた。
その様子を次女はうらやましそうに見ている。
大きなスポーツバックに入れている物が、宝物のように見えるのだろう。

「ママ、これなぁに?」

長女が朝ご飯を食べていると
バックの中から「カロリーメイト」を取り出して持ってきた。

「それはね、カロリーメイトだよ。お姉ちゃんがサッカーの試合の時食べるの」
「・・・きーちゃんも食べたいっ!!」
「これは、サッカーの試合に出る人が食べるの」
「やぁーだぁー、きーちゃんも食べるぅぅぅー」

ギャングエイジ真っ盛りの次女は、どこの誰よりも「しつこい」
カロリーメイトと上手く言えないので「カレー」と表現して
「カレーたべるぅぅぅぅー」
と大暴れ。

珍しく試合が延期という連絡が入った。
場所が山形に近い「広瀬」だったから
雪が凄いということ。スタッドレスタイヤからノーマルに変えた人がほとんどだから。
という理由らしい。

私はほっとしたけど、長女は残念な様子だった。
エースのN君も調子がいいと聞いていたし、自分も朝練さぼらず
頑張っていたからね。
「グランドコンディションがいいときの方がいいよ!」
と気を取り直した。

・・・が、いつまでも「カレー、カレー」と騒いでいる次女をどうにかしなければ。

別な事で誤魔化しても
「・・・あ、カレーは?」とすぐ思い出す。
その後も何回言われたことか「カレー食べたい」と。
そのバトルは寝る間際まで続いた。
あげればすむ問題ではない。近頃色々わかってきて
泣けばもらえる。と思うのがこの「ギャングエイジ」時代。
甘やかせばしっぺ返しがいつかくる。
大きくなったら我慢出来るのではない。小さい頃からの訓練で
我慢出来る子が育つのだ。

私がちょっとの間、席をはずした夜の時間だった。
私が居ないのを確認して、次女は主人の耳元でこう言ったそうだ。
「・・・パパ、カレー食べたい」
「カレー?」
「・・・こっちにあるよ。ママの部屋」
と、連れてこられたのが台所の冷蔵庫の前だった。
次女の手が届かない、冷蔵庫のてっぺんにカロリーメイトをしまっていたからだった。
「あれ、とってカレー」
主人はあまりの可笑しさに、一本あげてもいいと思ってしまったらしい。
この執念には、脱帽だと思えたそうだ。

私がリビングに戻ったら
「キャッ」と言って、主人の背中に隠れた。
手にはカロリーメイトのチョコ味が一本。「どーだ、ゲットだぜ」と満面の笑み。
私は主人がそうしたのだから仕方ないと「良かったね、きーちゃん」と次女に言った。
すると次女は面白くなさそうに一言。

「めんどすけーなー・・・」
(面倒くさかったな・・・)

と一言。
パパに最初から頼めば良かったよ-、ママは面倒くさい。
というニュアンスでコメントを残し、完食した。

はい。いつの時代でも母というのは面倒くさいことを
買って出る存在なのです。
あなたも子育てするようになったらわかりますとも。
いや、解って下さい。

恐るべし、カロリーメイト。
そして次女の執念。
「きーちゃんもサッカーするならいつでもあげるよー」
「・・・やぁーだぁー!!きーちゃんプリキュアになるもーん」







あなたのその執念があれば
どんな悪者もしっぽを巻くに違いありません。
ぜひ、プリキュアになって下さい。
by kai-takasaki | 2010-04-19 15:03 | エッセイ