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おじいちゃんの涙






私が大学生の時に亡くなったおじいちゃん。
ユーモアがあって
お洒落で
格好良かった。

そのおじいちゃんが
時々、無言で涙を流すときがあった。

つー・・・っと流れる一筋の涙を見つけて
「どきっ」っとしたことが何度かあった。
何で泣いているかは
言葉にして聞いたことはなかったけど
おじいちゃんはよく戦争の時の話をしてくれたので
幼いながらに、戦争のことを思い出しているのかな、と感じていた。

多分、その憶測は間違いないと思っている。

おじいちゃんは、人間にとって一番大切なことを
色々な物語を通して教えてくれた唯一の大人だった。
戦争の話をしてくれたとき
中国の人とふれあった、何気ない日々のことを話してくれた。
戦争の酷い経験や、苦しかった思いはけして語らず、
その土地で感じた美しくはかない毎日の
移りゆく一日の流れだけを、話してくれた。

そして、優しいような哀しいような顔をしていた。

なぜ、そんなことを思い出したかというと
私も戦争ではないけれど
3.11という大震災を経験して
同じように、涙が流れるときがたまにあるから。

誰かに分かってもらおうというのは
多分、限界があるんじゃないかなと思う。

おじいちゃんも
そんな感じだったのかな、と思った。